フリーランス・零細事業者を追い詰める インボイス制度にNO!


 


「インボイス制度」と聞いて、ピンとくる人は少ないのではないか。

2023年10月からこれまで消費税が免税されてきた売上高1000万円以下の零細事業者や、フリーランスの人たちに「課税事業者」となることを求める実質的な消費税増税といえる制度だ。2016年度税制改正で導入が決定された。「適格請求書発行業者」の登録申請をし、税務署から附番された登録番号がないと仕事の受注ができなくなる可能性がある。生計を立てられず廃業する人が出ることは必至だ。

現在、フリーランスで働く人は1500万人以上いるといわれているが、収入が1000万円を超える人はその1割にも満たない。最も影響を受ける事は間違いないが、制度について理解している人は少なく、来年3月の登録申請の締切を前に、対象事業者の1割しか登録をしていない現状だ。

都内で異例の集会

10月26日、東京・日比谷公園(野外音楽堂)で「STOP!インボイス 日比谷MEETING」が開かれた。

呼びかけたのは、インボイス制度を考えるフリーランスの会の小泉なつみさん(ライター)。日ごろ、ばらばらに活動するフリーランスの人たちが繋がり、約1200人(主催者発表)が日比谷野音に集まった。オンライン視聴は最大1000人ほど。オンライン署名「多様な働き方とカルチャーを衰退させるインボイス制度に抗議します」は10万筆を超え、クラウドファンディングで250人から100万円を集め、開催にこぎつけた。

小泉さんは「インボイス制度は、税率を変えない消費税の増税だと思う。弱い人に負担を押しつける。誰が負担を負うか力関係で決まる。私がもし、仕事をくれる出版社の人にインボイスをくれと言われたらのまないといけない。生活を人質に取り、弱い者をさらに弱くする。国がやることではない。いじめっ子のやること」と訴えた。

さらに、「制度の影響を受けるのは、フリーランスや小規模事業者といった後ろ盾のない人たち。組織や団体に属していない、弱くてネットワークのない人たちだ。その人たちを狙い撃ちにしていることが許せない」と、憤りを露わにした。

消費税増税の布石か

経済ジャーナリストの荻原博子さんは、まず「インボイス制度は将来的に消費税を上げる布石ではないか」と指摘した。消費税を8%、10%に増税した時、税率を何パーセントにでも自由に設定できるインボイス制度について既に画策されていたという。

荻原さんは、コロナ禍でイギリスもドイツも消費税率を下げたこと、そもそもアメリカ合衆国には消費税がない事に触れ、いつも日本はアメリカはこうしていると参考にするのに、今回ばかりは北欧を持ち出しているとして「皆さん、北欧並みの福祉を受けていますか? 違いますよね」
と批判。日本では消費税のほとんどが国の借金返済に消え、3割しか福祉に使われていない。社会保障と税金の国民負担率は48%(財務省・2021年)。制度の導入に反対だと明言した。

反対の声を大きく

「クールジャパン」等と持ち上げられるが、アニメ業界で働く人の多くが年収300万円以下だという。既に、登録事業者にならないと仕事を振らないと言われた声優もいるそうだ。今はどこかに属し働いていても、ある日、独立起業する場合もあるかもしれない。誰もが当事者になる可能性があるのに、制度自体が知られていない。

既に野党からは「インボイス廃止法案」「消費税減税法案」が出されているが、双方とも継続審議=棚ざらしで国会で議論されてもいない。私たち一人ひとりが反対の声を上げ、制度実施を強行させない世論をつくるしかない(記事右下にオンライン署名あり)。

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