#軍拡より生活  私たちは軍拡も増税も認めない

「平和を求め、軍拡を許さない女たちの会」による記者会見(2月8日)

 

防衛予算10兆円超の異常

2月28日、2023年度予算案が衆議院で可決された。過去最高の114兆3812億円だ。昨年度より約7兆円近くも増えた最大の原因は防衛費にある。敵基地攻撃能力(反撃能力)を持つ武器の爆買いなどの防衛費6兆7880億円と、防衛力強化資金3兆3806億円を合わせると、防衛関連予算は10兆円を超える。政権のお財布になりかねない予備費も、4兆円+ウクライナ関連予備費1兆円となっている。そして税収が69兆4400億円、35兆円以上国債を発行とは、あまりにもいびつな予算だ。

そもそも私たちは平和憲法下で敵基地攻撃能力を持つことも、南西諸島へのミサイル配備も、自衛隊基地の強靭化も望んでいない。もちろん、原発回帰も許してはいない。軍拡のため、国民の生活も社会保障も教育も労働もやせ細らせる岸田政権に「NO!」の声が、各地で上がり始めている。


戦争させない外交努力を


2月28日、平和を求め軍拡を許さない女たちの会のメンバーを中心に、「新しい戦前にさせない」シンポジウムが全水道会館で開かれた(共同テーブル主催)。

田中優子さん(元法政大総長)は「戦争をさせないためには何よりも外交が必要だが、防衛力強化有識者会議には『外交』という言葉が出てこない上、武器輸出まで言い始めている。岸田総理は、積極的外交と言いながら(戦争にさせないための)外交はしていない。日中共同声明で、台湾は中国の一部だと確認しており、日本はそれを尊重する。国境は変えない。武力は用いないことを約束している」と話した。

そして、日本は「台湾有事は日本の有事」と騒ぐが、中国が台湾に干渉してもそれは国内問題であり、米国や日本が軍事干渉するなど論理的に破綻していると断じ、「米国のシンクタンクでは2026年に軍事衝突の可能性を示唆したが、戦争は始まったら止まらない。日中平和条約や共同声明をフルに生かして戦争を始めないように言い続けるしか
ない」と、外交努力を求めた。


戦争の前に貧困で死ぬ


竹信三恵子さん(ジャーナリスト)は、「日本は軍事に43兆円(5年間の防衛費規模)も使っている場合じゃない。賃上げすべき時。フランスでは最低賃金を引き上げるのに公費を投入する。3度のご飯が食べられないとか非正規雇用など、困っている人が見えていない。これ以上社会保障費を絞ったら、戦争の前に貧困で死んでしまう。軍拡による損害を多くの人に伝えることが大切」と、権力側からの情報しか伝わっていない人が多いことを問題視した。

雨宮処凛さん(作家・政治活動家)の「貧困対策には、常に財源論の壁が立ちはだかるが、軍事費はどうか。貧困の若年化、特に女性が増えているが、コロナ禍と失業、さらに物価高でより深刻になっている。住まいのない人へのビジネスホテル支援を打ち切って、旅行をする余裕のある人に旅行支援をする予算はおかしい」との話に、一番苦しんでいる人を切り捨てる政権への怒りがわいた。

この場にいない人たちに伝わる発信を

では、どうやってこの軍拡予算を止め、政治を変えられるのか。

和田靜香さん(フリーライター)は「文化人や意識の高い人がここに集まってお終い、では広がらない。コンビニで働いていたが、自尊心を削り取られるような仕事を1日してから軍拡について考えるなんて無理」。関心のない人、考える余裕のない人にどう伝えるかが課題だと話した。さらに、自分の悩みや苦しみは「自己責任」などではなく政治の不備だと気づく場が必要で、「場と情報」はセットだと指摘。各登壇者からも、様々な団体や人々が繋がること、積極的な発信に加え、中国や韓国など海外の市民と繋がっていくことの重要性が挙げられた。


格差と貧困、少子高齢化が深刻化する中、軍事力倍増など正気の沙汰ではない。「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」日本国憲法とともに、世界の人々と繋がり声を上げていくしかない。来る自治体選挙で、同じ志を持つ議員を当選させよう。


(編集部)

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