政策に若者の声と未来の視点を




芹ヶ野 瑠奈

気候変動やジェンダーなどの問題解決に、ロビイングを通して取り組む大学2年生。政治や社会問題の話を難しい言葉を使わずに、なるべくわかりやすく周りと共有するように心がけている。趣味は木登りと歌を作ること。



日本では10〜20代の投票率が他の年代と比べて一番低く、友だち同士でも政治の話題になりにくい。そんな中で私はある意味マイノリティだ。私は、選挙で毎回投票するだけでなく、選挙キャンペーンの手伝いやロビイング活動等、日頃から政治的な活動に取り組んでいる。

それには、親の影響があったかもしれない。音楽家の父は毎晩7時のニュースを視聴し、時事やそれに対する各党の動きを追っていた。アメリカ・アリゾナ州出身の母は投票権を持っていないが、気候変動等の社会問題やコミュニティ作りに、生活の範囲内で取り組んでいた。

私は、高校2年生の時に若者の気候変動ムーブメントFridays for Future Tokyo の一員になり、初めて署名集めや議員への働きかけ等の政治活動に関わるようになった。政治経済学を学ぶ大学生となった今は、日本若者協議会等の団体でのアドボカシー活動を通して、気候変動やジェンダー問題に取り組んでいる。気候変動の分野では政府のGX関連法案、ジェンダーの分野では、痴漢対策について提言書の提出や意見交換等に取り組んでいる。

私が望む3つのこと

私が、今の日本に変わってほしいことは3つある。

1つ目は、より多くの若者に政治に興味を持ってほしいということだ。少子高齢化や気候変動等、未来を担う世代として団結して取り組まなければいけない課題が多いのに、無関心な人が多く心細い。若者が投票に行くようになれば、今の政治に変化が起きるのではないだろうか。

先日、大学の授業でも政治学の教授が「自民党が恐れているのは野党ではなく、無投票者層である」と語った。かつて、森喜朗元首相も「(選挙に)関心がないと言って寝てしまってくれれば、それでいいんですけれど」と話した。国民の約半数である無投票者層が次の選挙で投票に行ったら、国会の構造や政策はどう変わるだろうか。

2つ目は、行政に若者の声を反映させる機会を増やし、政策に活かしてほしいということだ。現時点では若者の声が十分に届いているとは言えない。例えば、第6次エネルギー基本計画を作成する際に開かれた基本政策分科会の委員会の委員24人の中に30代以下のメンバーはいなかった。エネルギー基本計画は気候変動と深く関係し、未来世代に大きく影響を及ぼすテーマであるはずだ。

これを解決する方法の1つに、「未来世代法」の導入がある。同法は、国や行政機関の法律を「未来世代の幸福」という視点からチェックすることを要求する法律で、既にウェールズ(英国)で“Well-being of Future Generations (Wales)Act”という名で施行されている。日本では、立憲民主党が「将来世代法案」として骨子案をまとめたが、国会で採決されるには、他党がこの考えに意義を見出し、賛成する必要がある。

加えて、被選挙権年齢の引き下げである。衆議院、都道府県議会議員、市区町村長、市区町村議会議員の被選挙権年齢は満25歳で、参議院議員と都道府県知事は30歳だ。選挙権年齢である18歳と大きな差がある。これに対しては「立候補年齢を引き下げるためのプロジェクト」という動きがあり、被選挙権年齢の引き下げのために、国に対して6月に訴訟が提起される予定だ。

3つ目は、左派政党やその政策を支持する若者、つまり選択的夫婦別姓や同性婚に賛成し、原発再稼働や憲法9条改正に反対する若者が増えてほしいことだ。だが、2021年衆議院選のNHKによる出口調査で自民党に投票したと答えた人は18・19歳で43%、20代は41%と、他の世代と比べて若干高かった。また、2022年に日本財団が17〜19歳の若者に行なった意識調査では、電源構成における原子力発電比率を今よりも高めることに約6割が賛成であると回答している。

世代を越え活動を

日本の若者の政治離れは深刻化しているが、より良くしようと日々励んでいる若者はいる。そして、気候変動、経済格差、少子高齢化等がますます深刻な状況になり、政治に関心を持たざるを得ない若者がこれから増えるのではないかと思う。今一生懸命活動している若者と、これから生まれる若いリーダーたちに注目すると共に、一緒に活動に取り組んでいただきたいと思う。


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